小ロットでプリント基板を作る方法

現在、小ロットで比較的安価にプリント基板を制作するメーカーが幾つかあります。日本のメーカーでも試作を台湾、韓国で行うことでコストダウンを行なっています。発注後1週間程度で完成した基板が手元に届きます。

P板.COM

プリント基板の設計も依頼することが可能ですが、自分でパターン設計したほうがコストも安く済みます。パターン設計のためのツールも無料で公開されています。

Cadlusサーキット

回路設計CAD。パターン設計の準備として回路図を作ります。この回路図の結線データをもとにして次のパターン設計で間違いのない設計を行うことが出来ます。

 

CadlusX

基板パターンCAD。回路設計CADのデータを読み込み、所望の大きさの基板サイズにパターンを設計します。ライブラリーには代表的な部品のデータが入っており、そのまま使うことで大体の回路パターンは作成することが出来ます。

このようなツールは各プリント基板メーカーが準備しており、そのメーカーに製作を依頼することを前提として無料で利用することが出来ます。ここで紹介したツールは、P板.comからダウンロードして使うことが出来ます。

ツールの使用方法、基板設計についてはある程度の専門知識を要します。学習にはこちらの入門書が役に立ちました。

CadlusX入門

AVR マイコンチップ 8bitシリーズ

AVR8ビットマイコンのシリーズには大きく分けて2つあります。大容量化、I/Oを拡張したMegaシリーズと高機能化・低消費電力化・低電圧対応したTinyシリーズです。I/Oピン数、パッケージタイプ、メモリー容量などによって更に細かく分類されます。ここでは代表的な2機種について紹介します。

上:ATTiny2313

下:ATmega 328P

ATmega 328P

  • 参考価格 250円(小ロット購入時)(*1)
  • 最大動作周波数:20MHz
  • FLASH:32KB
  • 28ピンDIP
  • 14デジタルI/O
  • 6アナログインプット

Adruino Unoにも使われているマイコンです。

ATTiny2313

  • 実売価格 100円(小ロット購入時)(*1)
  • 最大動作周波数:20MHz
  • FLASH:2kバイト
  • 20ピン DIP
  • 18ピン  I/O

LCDキャラクターディスプレイモジュールを使ったプログラミングではATTinyではメモリー容量が不足することがあります。ATmegaならメモリー容量が十分あり、余裕を持ってプログラミングすることが出来ます。ATtiny2313にはA/Dコンバータがありません。アナログ電圧の測定が必要な場合は他のモデルをつかうことになります。

シリーズの詳しい内容、使用についてはAtmel社のサイトをご確認下さい。
Atmel Corporation

*1)量産用として相当数量を購入する場合はこの価格ではありません。紹介した価格は秋月電子通商2012年6月時点の価格を掲載しています。

AVR開発環境

AVRマイコンを使うための開発環境について説明します。

ATMEL STUDIO

ATMEL社の純正の統合開発環境が無料で使うことが出来ます。WindowsPCにインストールします。C言語、アセンブラでプログラミングすることが出来ます。ターゲットの回路との接続は、ISP(In-System Programmer)を使う。例ではAtmel社純正のAVRISPmkIIを使っています。ISPとPCの接続はUSBケーブルで、ターゲットとの接続はISPの6芯ケーブルで行います。ATMEL STUDIOはプログラムのコンパイル、アップロードの他に、AVRマイコンチップのフューズビットの設定を行うことが出来ます。フューズビットを書き換えることで、クロックの分周を行うかどうか、外付け発振子の有無などを設定することが出来ます。

ATMEL社のウェブサイト

Arduino IDE

プログラミング及びプログラムのアップロードにArduino IDEを利用することが出来ます。Windows以外にMacOSX、Linuxでも開発を行うことが出来ます。ArduinoIDEは0.22でサポートしていることを確認しています。1.00では動作しませんでした。ArduinoIDEを使うことで、Arduino言語が使えること、豊富なライブラリーが利用できることから、プログラミングが容易になり、開発期間を短縮することも出来るでしょう。

ターゲットとの接続はISPを利用します。フューズビットの書き換えはATMEL STUDIOを利用するのが良いでしょう。マイコンの初期設定(フューズビット)のまま使うのであればATMEL STUDIOを使うことは無いでしょう。

AVRマイコンを使う上でのメリット/デメリット

AVR ATMega328はフィジカルコンピューティングとして有名なArduinoボードでも使われているマイコンです。AVRマイコン単体で使う場合とArduinoボードで使う場合の比較した場合のメリット・デメリットについて紹介します。

AVR単体のメリット

基板のデザインが自由に出来る

センサーなどのデバイス、モジュールや他機器との接続のためのコネクター等をAVRマイコンと同一基板上に実装することが出来ます。所望の筐体に合わせて基板の形状を決めることが出来ます。これは製品化を考えたときに使いやすいといえるでしょう。

マイコンの選択肢がある

仕様の必要に応じてマイコンのモデル(ATmega,ATtiny…)を選択することが出来ます。必要十分なマイコンを選定することはコストダウンにもつながります。

マイコンの細かな設定が可能

フューズビットを操作することが可能。例えばクロック用外部発振器の有無を選択することが出来る。

量産、小ロット生産

 コストダウン、基板の最適化、仕様の絞り込みができることから、量産および小ロット生産に向いている
AVRマイコンの最小構成であれば100円(小ロット生産時)から実現可能。(ArduinoボードはUnoが2,520円)

AVR単体のデメリット

AVR開発環境

開発環境であるATMEL STUDIO(2012年6月時点での最新版はATMEL STUDIO6)はArduino IDEに比較して難しく習得へのハードルが若干高い。
例えば、入出力ピンの設定、ピンへの入出力にビット操作で行うなど。

ただしこのデメリットもArduinoIDE(0.22でサポート、1.0はサポートされていない)を使うことで解消できる。Arduino言語が使えること、Arduino用のライブラリーが利用できることのメリット(習熟の容易さ、開発期間の短縮)は大変大きい。同じマイコンATMega328を使うことでArduinoでプロトタイプしたものをほとんど変更なくAVRへ移植するといった開発プロセスを行うことも可能。

PCとの接続

試作用の基板またはブレッドボードを使って、PCからプログラムをアップロードするための回路を構成する必要がある。

接続例1

接続例1ではブレッドボード上にAVRISPmkIIコネクターとATmegaの配線とその他部品との配線を行なっています。ArduinoボードはUSBポートを備えているのでそのままPCとの接続ができることを考えると、AVRを使う上ではその準備に手間がかかるといえよう。


接続例2
接続例2ではAVR試作検討用基板(写真下)をオリジナルで起こしたもの。基板上にはISPコネクター、水晶発振器(オプションで発振器の実装有無が選択)、LCDモジュール用コネクターを実装し、よく使うであろう機能に絞って基板上に構成しました。これによって省スペース、LCDモジュールとのコネクター接続による一体化、コストダウンを行うことが出来ました。(写真ではISPコネクターをハーネスで延長しています)

AVRボードについて

幾つかのI/Oピンも基板上のランドに出していますので、外部機器との接続とLCDに表示する回路構成であればこのボードを使って試作から製品化まで利用することも可能でしょう。

AVRマイコンチップのフューズビットの書き換え

ATMEL STUDIO6を使ってAVRマイコンチップのフューズビットの書き換えについて説明します。

AVRマイコンとPCを接続したあと、ATMEL STUIDIOのTool > Device programing をクリック。

Tool、Deviceを使用しているものに合わせ、Applyをクリックする。Device SignatureのReadをクリックしエラーが出なければ接続が成功。

フューズビットの書き換えのために Interface setting > Fuses をクリック。クロック周波数の分周を行うかどうかの設定は”CKDIV8”のチェックボックスで指示します。外部クロック、内蔵クロックの切り替え等は”SUT_CKSEL”のプルダウンメニューから選択します。マイコンの初期状態では”INTR・・・”になっていました。ここでは外部発振子を使う設定に変更しましょう。

”EXTXOSC_8MHz…”を選択します。